[リガーレ東京ストーリー]No.7 西野宏太郎

  • 2019-07-07
  • 2020-03-17
  • Story

西野宏太郎 選手兼監督。練習では自らプレーしながらチームの指導を行う。

忘れられない言葉

 
筆者が、忘れられない言葉があるーー。
 

SuperSports XEBIO 第21回関東フットサルリーグ1部 byPENALTY(以下関東リーグ)の開幕戦から一週間後。

6月特有の、少し煮え切らない雨が降りしきる都内の練習場で、その曇天を突き抜けるかのように、ピッチでひときわ鋭く、そして大きく『タテ!』『寄せろ!』とコーチングをする声が響く。

その声の主はリガーレ東京(以下リガーレ)の選手兼監督。西野宏太郎。 (以下 西野監督)

筆者はそんな西野監督の姿を見ながら、その”忘れられない言葉”を思い浮かべていたーー。

転機と円熟


ここで少し、西野監督のこれまでのストーリーを辿ってみたい。

”キングカズ”こと三浦知良選手(現横浜FC)に憧れ、小学生からサッカーを始めた西野少年。高校はサッカーの強豪校に進学したが『いつも登録メンバーの当落選上』。

そんな試合に出れない日々が続いた中でも腐らず、基礎練習、特にインサイドキックをひたすら練習していたという。

そんな西野監督に転機が訪れたのは大学生の頃。高校のサッカー部時代からの親友だった松浦英(現リガーレトップチームコーチ)に誘われ、フットサル大会に出たのがきっかけだった。

フットサルにのめり込んだ西野監督はその後、GALO、シャークスといった当時の関東リーグの強豪チームを経て、Fリーグ黎明期にはシュライカー大阪で活躍。日本フットサル界の”最高到達点”まで上り詰めたのち、2008年にデルソーレ中野(リガーレの前身母体)へ移籍。その後2014年にはリガーレの監督を兼任し、今年で6シーズン目。プレイングマネジャーとして円熟の域に達しつつある。

 

2011年、リガーレの前身となったデルソーレ中野時代の西野監督(写真:後列右から3番目)。デルソーレ中野はこのシーズンに関東リーグへの昇格を果たした。藤原、碓井、岡野、松浦、代表の高橋など、現在のリガーレを支えるメンバーの顔ぶれも懐かしい。
※写真引用:フットサルタイムズ

 

意外な言葉

西野監督就任後のリガーレは、5シーズンで3度の関東リーグ1部優勝。

リーグ戦通算戦績は80試合で「48勝15分17敗」と、勝率は60%を超え、引き分けまで含めると実に80%の試合で勝ち点を取ってきた計算になる。

第三者から見ると、この上なく順風満帆にしか見えない実績だが、西野監督が語った言葉は意外なものだった。

選手兼監督に就任した時は、心境の変化がとても大きかったし自信がなかったですね。なぜなら監督を兼任するということは、自分自身が選手としての自信を失ってしまう可能性がある一方で、”チームを俯瞰し、自分を客観的に見る”ことが求められる立ち位置だからです。

”自分が選手として出たい気持ち”と、”自分が出ることがチームとして正解なのか?トレーニングのクオリティーを落としてしまわないか?”の判断を、自分自身でしなければならない。

この”葛藤”に似た気持ちは、監督に就任してから毎シーズン、常に心の中にあり続けていますが、本当にチームのスタッフや選手たちに恵まれてこの結果と今を迎えられています。


そして監督になってこの5年間。

一番大切にしているのは「毎シーズン、毎試合、自分に自信を持つこと」です。

これは指導者ライセンスを取ったり、日々学びを深めていると感じることで、矛盾するように聞こえるかもしれませんが、今以上により大きな成長や自信を得ようとするたび、打ちのめされるほど自分のウィークポイントが見えてくることがあります。

この停滞しているかのように感じられるが、今よりもより大きな成長のために突き抜けようとする”踊り場”のような時を乗り越えようとする過程の中で、それまで自分が持っていた”自信”が揺らいでしまうと、自分もチームもあまり良くない状態になることがありました。

この”踊り場”はさらなる成長にとって必要なプロセスなので、自分が「これまでやってきたこと」と「軸」に対して、ウィークポイントから得た学びや発見を取り入れつつ、自信を持ち続けることを常に意識しています。

リガーレだけが挑める目標

2015年、リガーレが関東リーグ1部で初優勝したシーズンの西野監督。この翌年、チームは連覇を達成する。
写真引用:デジタルピヴォ!Plus

 

ーー筆者が、忘れられない言葉がある。

 

それは、リガーレが関東リーグで初優勝した翌年の2016年、関東リーグのとある試合後のインタビューで西野監督が発した言葉だ。

 

「連覇というのは、僕らにしか出来ない。」

 

このインタビューの数カ月後、リガーレは優勝し、連覇を達成する。

 


2016年に連覇した時、自分で想像していた以上に、喜びが体全身から湧き上がってきました。

あの感覚はほかでは経験できないし、”すべてが報われた瞬間”とも感じました。


関東リーグ1部は全9チーム。それぞれのクラブが自分たちの目標達成を目指す中で、今シーズンのリガーレは2連覇という目標を掲げてフットサルができる唯一のチームです。

どの相手チームも強く、毎試合も難しい試合になると思いますが、今のリガーレには優勝を経験してきたメンバーや、Fリーグの舞台で活躍してきた選手もいて、そういう意味で”勝ち”と”優勝”に飢えています。

だからこそクラブとして、連覇という頂点、そして地域チャンピオンズリーグにつながる、さらなる高みを目指していきたいと思います。

 

今シーズンも関東リーグは、おそらく激戦や接戦の連続だ。

 

そんな熾烈で過酷なリーグの中で、唯一、リガーレのみが挑める「連覇」という目標。

 

その大きなチャレンジに向かうチームの先頭で、西野監督は今日も走り続ける。

 

 

 

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