2度の延期を経て、ついに迎えた第22回関東フットサルリーグ2020 powered by PENALTY 1部リーグ(以下関東リーグ)の開幕戦。
リガーレ東京(以下リガーレ)は9月5日(土)、東京都東村山市民スポーツセンターでファイルフォックス八王子と対戦した。
(※以下選手敬称略)
戦いの準備
現在の社会情勢を鑑み、当面の間は無観客での開催となる関東リーグ。
会場では入場時の検温、入場者の記録、ソーシャルディスタンスを保った上での観客席エリアの区分けなど、リーグ全体で感染防止対策を実施したオペレーションが運用されており、リーグ開催のために準備・対策をされてきたリーグ関係者の方々には、とにかく頭が下がる思いだ。
その中でリガーレも、新井マネージャーを中心にスタッフ陣がベストな状態で選手たちが戦えるよう、試合への準備を整えていく。
会場入り後は、数時間後に控える戦いを前に、普段と同じように談笑をする選手もいれば、口数少なに他の試合の戦況を見つめる選手もいる。
試合時間が近づき、徐々に顔つきが変わっていく選手たち。
全体でのウォーミングアップが始まる前、眞境名オスカー監督、そして西野TDが選手を集めて語りかけた。
今年のリーグは1周しかないから、単純計算で言うと勝つことに倍の価値がある。ましてや相手はファイルフォックスで、同じくFリーグを目指しているチーム。 今日はそういった意味で難しい試合になる。
こういう試合は1年に何度もない。開幕戦で、ましてや相手がファイルフォックス。今日負けたら、今年はやり返す機会がほぼない。
絶対負けたくない。絶対勝ちたい。
試合中は絶対難しいことも起こるし、嫌なこともあるかもしれないけど、チームみんなでやってきたことを守って、集中力を切らさずにやっていこう。
きょうのゲーム。40分間、(前後半の)20分、20分。チームでやってきたことをやりましょう。
相手のことを考えすぎると、自分のプレーがでてこないから。
いつも通り、自分を信じて、味方を信じて。しっかり頑張っていきましょう。
一つ一つの言葉を噛み締めるように耳を傾けていた選手たちは、徐々に負荷の上がっていくウォーミングアップの中で、勝負の場所に向かう雰囲気を纏い、戦いの準備を進めていく。
鮮やかな幕開け
開幕戦のリガーレ東京のメンバーは下記の通り。オスカー監督は守護神のNo.53柴田、キャプテンのNo.4碓井、No.14米谷、No.19大薗、No.23高橋を先発としてチョイス。
試合は開始直後から、いきなり動いた。
前半2分、リガーレは立ち上がりから積極的なプレスを仕掛けて右サイドからのコーナーキック(以下CK)を得ると、キッカーのNo.4碓井がゴール前に低めのクロスを送り、走り込んだNo.14米谷がダイレクトであわせて鮮やかに先制。
逆にリガーレに訪れた前半初めてのピンチは前半4分。左サイドを起点に攻められ、対角へのシュートを許すが守護神のNo.53柴田がセーブ。そのこぼれ球も押し込まれそうになるが、No.7岡崎がブロックでしのぐ。
次に試合が動いたのは前半7分。
前からのプレスでパスコースを限定する中、相手の逆サイドへのパスをカットしたNo.19大薗が自らペナルティエリア(以下PA)中央へ持ち上がり強烈なシュート。GKが弾いたボールをNo.4碓井が押し込んで2−0とすると、その直後にも、柴田のスローから米谷が抜け出して相手のハンドを誘発。このペナルティキックを大薗が冷静に決めて3−0。
さらに前半11分には、右サイドのキックインで米谷の素早いリスタートから、大薗が”チョンドン”で右足を振り抜くと、強烈なシュートが対角のゴールネットを射抜いて4−0。
その後も前からのプレスを緩めないリガーレは、ルーズな球際を見逃さない集中したディフェンスを見せて得点を許さずに前半を折り返した。
新しい力
後半開始から、セットの組み合わせに変化を加えたリガーレ。
お互いに自陣からのオフェンスを構築するチーム同士ということもあり、序盤は双方が形を作りながらチャンスを伺う展開となるが、その後やや守勢に回ったリガーレは、ハーフウェーライン付近から相手の攻撃をケアしつつ、危ない場面は柴田が冷静なセービングで流れを渡さない。
やや守勢の展開の中で迎えた後半6分、リガーレは自陣で相手の前からのプレスを受けていたNo.23髙橋が、敵陣右サイドに空いたスペースに柔らかなループパスを送ると、走りこんだ米谷がゴール前へ推進し逆サイドへ丁寧なパス。決定機になると信じて走り込んでいた碓井がこれを決めて、リガーレはリードを5点と広げる。
その後もカウンターからチャンスを作り出すリガーレは新加入選手が躍動。
後半10分には自陣右サイドからのキックインをハーフウェーライン付近で受けた大薗がルックアップから相手をひきつけ左サイドのスペースにパスを送ると、走り込んだ岡崎が勢いそのままに右足を振り抜いて6−0。
その直後にもGK柴田からのスローを受けた大薗が左サイドでキープから対角へパス。走り込んだ足立が気持ちで押し込み7−0とする。
後半残り8分からは、相手のパワープレーをチーム一丸となって守りつつ、田嶋、米谷が加点。 9−0で試合終了の笛を聞いた。
本当に強いチーム
大事な開幕戦をものにし、白星スタートを切ったリガーレ。その試合後、オスカー監督は、選手達に語りかけた。
ゲーム内容を振り返ると、前半4点、後半5点、失点ゼロ。これはすごく大きいこと。
でも1試合しか終わっていない。これで満足するのは良くないし、次の試合の準備をしなければいけない。
今日みたいなコミュニケーションを、練習中からとれるように。
今日みたいな気持ちを、練習の最初から出せるように。
いつも言っているけど、練習からやらないと本番では出てこない。
この試合はいい勉強になったと思う。
チームが団結したからこの結果が出た。
勝ったら嬉しいし、楽しい。でも、強いチームは 9-0 というスコアが出せるチームのことじゃない。
本当に強いチームは、これからのシーズンの戦いの中で負けているときに、メンタルやプレーを切り替えられて、逆転できるチーム。
まだ1試合。次の試合に向けて準備をしていきましょう。
2020シーズンの開幕戦。
リガーレにとっては、この上ないスタートだが、まだシーズンは始まったばかり。
次の戦いへ向けて、チームはまた、新たな準備を進める。
LIGA Voice
眞境名オスカー監督
Q.開幕戦を振り返ってください。
これはいつも変わらないのですが、1−0でもよいので、開幕戦は”勝つこと”が大事だと思っています。今年は特に、リーグ戦が1巡で短いということもあり、勝てて良かったと思います。
今日は早い時間に先制ができて、そこから前からのプレス。特に選手の信頼関係が出来てプレッシャーをかけることができ、それが追加点に繋がりました。
私がブラジルにいたときから大切にしている”スローガン”があります。それは、”ベストなディフェンスは前から守ること”です。今日は前からコンパクトなディフェンスがそれぞれのセットで出来たことが無失点につながったと思います。
(今日の試合を見ると)9−0という結果で、みんなは”すごい”と思うかもしれませんが、この1試合だけの結果であって、次の試合で状況が違うし、相手も違うという中で同じディフェンス、ゲームプランができるかどうか。
これを2試合、3試合…と続けられるのが強いチームです。そういった意味で、まだまだこれから上げていかなければなりません。
(第2節まで)少し時間があくので、若い選手や新しいセットの組み合わせ、セットプレイも練習していきたいと考えています。
Q.今後の意気込みをお願いします。
このチームが狙うところはトップであり、Fリーグです。これからもっと戦う姿勢や気持ちを見せないといけないし、まずはFリーグのチームと試合をしていい勝負ができるようにしていきたい。そのためのチームとしてのコンセプトは少しずつ出来てきたのですが、まだチーム内のコミュニケーションが足りません。
今日は勝っている状況だったのでコミュニケーションがとれていたのですが、失点したり負けている状況でも今日と同じようなコミュニケーションがとれないとチームとして挽回することが難しくなります。
Fの舞台を目指すにはまだまだ足りない所があります。
今日はまだ(その過程を目指す上での)一試合。チームとしてひとつひとつステップを登っていきたいと思います。
No.4 碓井孝一郎選手
Q.開幕戦を振り返ってください。
まずはリーグが開幕出来たことに感謝したいと思います。関係者の皆様、ありがとうございます。
試合は入りから、良かったと思います。試合前のオスカーや西野さんの言葉にとても気持ちが高ぶりましたし、チーム全体の士気が上がり、雰囲気も良かったと思います。
試合は早い段階で先制点、追加点を取ることが出来て、自信をもってプレー出来たと思います。
まだまだ課題もありますが、まずは勝てたことにホッとしています。
勝って次に進めたことが嬉しいです。Q.ご自身の2得点を振り返ってください。
前半の得点は、連動したディフェンスが起点となって生まれたのですが、ゴール自体は、GKがセーブしてこぼれた所が利き脚のほうだったので、押し込むだけでした。ゾノ(No.19大薗)のシュートが強烈でしたね。
後半の得点は、自分達のクリアランスから相手にプレスをかけられてハマりかけたのですが、上手く相手の背後を取ることが出来ました。
僕は米(No.14米谷)を信じてスプリントして、米からパスが来るかどうか待つだけでした。
米がチャンスでボールを持ったらいつも信じて走ることを意識していて、特にそこのスプリントは本気で走っています(笑)
Q.きょうの試合は何を意識してプレーされていたのでしょうか?
相手が(ライバルの)ファイルフォックスだったので、絶対に勝ちたい、負けたくないという気持ちがありましたし、MyCujoo(マイクジュー)で見ているサポーター、ファン、スポンサーの皆様に、だらしない姿は見せられないという気持ちで戦いました。
あとは声を出し、鼓舞して、今シーズン新加入した選手達に、”リガーレはこういうチームだ”という姿勢を見せたいと思っていました。
その上で、プレーについてはシンプルに、一生懸命やるだけでした。
Q.今後の意気込みをお願いします。
昨年も開幕戦は勝ちましたが、そのあとの戦いではチームとして波に乗ることが出来ませんでした。ですので、この勝ちに満足せず、常に向上できるようにトレーニングをしていきたいと思います。
また、リーグ戦は今年は1巡のみなので、毎試合がトーナメントの決勝戦のつもりで戦っていきたいと思います。
No.14 米谷悟選手
Q.開幕戦を振り返ってください。
相手のキーパーがおそらくアクシデントで不在で、いつもの状態じゃななかったということで、正直、これが自分たちの実力なのかどうかはわからないです。ただ(試合は)勝つことが絶対なので、一安心という気持ちもあります。
自分としては、相手が(苦しい状況でも)最後まで心折れずに戦ってくれたことに最大限のリスペクトと感謝の気持ちでいます。
Q.ご自身の先制点を振り返ってください。
あそこはいつもサスーン(No.4碓井)が信じて見てくれている所なので、自分もいつも通りやるということ、相手も上手くズレてくれたので結果的にゴールに繋がったのかなと思います。
ただあの場面は(No.23)髙橋の動きも良かったし、ゾノ(No.19大薗)がいるということも相手にとっては脅威だったので、 決して一人でとったゴールではないという点で、自分的にも好きなゴールでした。
Q.今日の試合で意識していたポイントを教えてください。
まず勝つことが絶対という中で、序盤に1点を取れたので、あとは(メンタル、プレーなど)同じことをどれだけ繰り返せるかがポイントでした。同じことを繰り返せば得点が取れるということを意識して、自分としては割と淡々とプレーしていました。
Q.開幕が近づくにつれて、普段の練習から何か想いを秘めてプレーをされているのかなと感じていました。何か想いはあったのでしょうか?
そうですね・・・少し自分の中でメンタル的に難しい部分がありました。このまま本当に試合ができるのかな?と。正直、”自分の殻”にこもっていた感じがあったのですが、(その過程の中で)自分はまだまだ未熟だなと気づきました。
そんなときに、『自分がもしも”誰か”だったら、どうするだろう?』と思いを巡らせたときに、リガーレの象徴だった選手、松浦英さんを考えました。
自分は一緒にプレーしたことはなかったですが、対戦相手として戦っていたときや、(リガーレに入団してからの)日頃の振る舞いを見ていて、『英さんだったらどうするかな?』と一番に考え始めたとき、ただただ勝利のために、チームのために、まっすぐにひたむきに走っている英さんが思い浮かんできて、やっぱりベテランとして、こういう風にやらなければいけないのかなと思い出されて。
自分としては本当に勝手で、個人的な想いなのですが、英さんという存在がいてくれたことに感謝しています。
Q.今後に向けての意気込みをおしえてください。
試合後のミーティングでサスーンも言っていたのですが、今日の公式戦で、観客席からの(サポートの)声、ベンチで出てない選手の声、ピッチ上での声、スタッフの声など、色んな声が一人の選手を助けてくれると思うんですね。
これをどんなときでも、たとえ負けてるときでも、同点のときでも、こういったゲームのときでも、どんなときでも繰り返せば、仮にその試合を落としてしまったとしても、それが必ず次に繋がる。その確信を持てた試合でした。
自分自身はまだまだ声が足りなかったなと思うのですが、新加入の竜(No.18足立)やユウタ(No.11田口)、キム(No.9木村)も普段なかなか試合に出れなかった選手がひたむきに声を出してくれたということが非常にポジティブだったんじゃないかなと感じています。
この先もこれがチーム一丸となって継続できば、結果的に勝ちがついてくるのではないかと信じています。
No.19 大薗 諒 選手
Q.開幕戦を振り返ってください。
リーグの初戦ということで、チーム全員が大事な試合と認識した上で挑んだのですが、(ここまでの)準備期間が長かった中こともあり、いざ本番となった時にどうなるのかな・・・と正直思っていました。
その中で、みんなの意識が”勝ちたい”という一つの大きな矢印に向かっていたことが、今日の結果につながったのかなと思います。
Q.今日の試合で意識されていたプレーは?
まず、”自分が点をとってもとらなくても、とにかくチームが勝てばいい”というのが大きな意識としてあって、その中で自分はシュートが得意で得点を取ることが役割…ということを認識し、しっかりと役割を果たそうと思ってプレーしていました。
Q.役割が果たせたという意味でいうと、今日は10段階で表すとどのくらいでしょうか?
試合に勝てたこと、そして得点を取れたという”結果”でいうと8くらいかなと思いますが、個人的な”内容”でいうと5〜6くらいだと思います。
その内容は練習や練習試合で10に近付ける努力ができると思いますし、本番で戦う相手が変わる中でも、8〜9くらいの結果を常に出し続けられるように普段から取り組んでいきたいと思います。
Q.今後に向けての意気込みをおしえてください。
今回は9−0で勝つことができましたが、”今回勝てたからOK”ではなく、これを継続して勝ち続けることが大事だと思うので、過信することなくチーム一丸となって頑張っていけたらと思います。
リガ犬の”勝手に”タイムアウト
Presented by @ligaken
◎ガゼッタ・リガ・スポルト 本日の採点
S.Kometani 9.5
攻守の躍動感。浪漫飛行でチームを勢いづける先制点。
Sasoon 9.0
先制のアシストに2得点。ベテランの勝負強さを遺憾なく発揮。
R.Oozono 8.5
中田ヒデのセリエAデビュー戦に匹敵する鮮烈なデビュー。脅威の右足。
D.Okazaki 7.5
持ち前の運動量とスマイルで躍動。デビュー戦で見事なゴール。試合内容は文句なしだが、自ら買ったアンパンのマネジメントを怠たり紛失してしまった点は次節への課題。
◎SasoonSONIC
2×3mの四角い枠に向かってNo4サスーンがスタイリッシュに白球をぶち込むという日本三大フェスティバルの一つ、「Sasoon SONIC(通称サスソ二)」が今年も9月5日(土)に、東京都東村山市で開催された模様。 ”始まりのRe:Start” で幕を開けた今回のフェスは、新曲 ”左足は添えるだけ” の流れから、自身の代表曲でもある “左足のゴラッソ feat.Kome” で締めくくり、軽快なパフォーマンスを披露。今後も関東を中心に不定期で開催(予定)。入場無料。
◎反町直輝
試合後、この日サポートに回ったNo.15江本選手に対して、『今日のナオキのシュート、惜しかったね!』と陽気なブラジリアンジョークで励ましたオスカー監督でしたが、本人はこの日も言いたいこともいえないリアクションをお返しした模様。
◎師弟関係
開幕戦の試合直前に、西野TDから『お前、(相手ピヴォの)岡野を止めれなかったらどうにかするからな?』と2人にしかわからない独特な激励を受けたNo.23高橋選手は、愛車のBMWを彷彿とさせる駆けぬけるディフェンスを見せてクリーンシート達成に大きく貢献。
◎自作自演
相手の連携ミスから約30mのインサイドキック弾を記録したNo.5田嶋選手は、試合後に一人でヒーローインタビューを敢行し、『そうですね…あれは、ゴールへのパスですね。』と芸術的な名言を無観客のスタンドに向けて披露していた模様。
◎オサム兄やん
試合後に膝のアイシングをしているNo.53柴田選手を発見した、リガーレOBでファイルフォックスの森選手は、「えっ、怪我したの?大丈夫?」と言いながら柴田選手の太ももの毛をむしる独特な治療法を施術していた模様。
◎それいけ!関口くん
試合後、昨シーズンの公式戦で黄色いカードを貰いがちだったファイルフォックスの森選手を発見したNo.30関口選手は『今シーズンは8試合しかないので、カードマスターの真価が問われますねっ☆』と独特の言い回しで猛禽類顔負けの激励を送っていた模様。
◎助言
先週末の練習試合後、No.19大薗選手に対し『お前、”足元”狩られるなよ』とベテランらしい的確なアドバイスを送ったNo.23高橋選手ですが、”足元”とはフットサルではなくエアマックス95を指していた模様。
◎ビーチボーイズ
No.9木村選手にビルダーが好きなのか嫌いなのか?の二択を迫られたNo.15江本選手は『ビルダーが好きか嫌いかで言ったら・・・そりゃあっ・・・好きっすよ』と、月9ドラマばりの告白で筋トレへのForever Loveを宣言。
それではまた次回お会いしましょう!
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